第十三回 吉祥寺(東京都武蔵野市)

ティッシュを沢山もらえる吉祥寺駅


改札にちょうちんが

吉祥寺駅は、なんだか遠くに来たような感じがする。
この日はホームを降りエスカレーターを降りたら、ちょうちんがお出迎えをしていた。
祭りでもあるのかと思わせるこのちょうちんの数。どうやら、近々やはり祭りがあるらしい。
こちらの改札は、井の頭線乗り場のほうだが、違う改札にもいたるところにちょうちんがぶら下がっていた。
制服の女子がいる辺りが、なんだか吉祥寺である。私は、以前出演したミュージカル「ケロケロちゃいむ」の稽古の時に、
この吉祥寺駅をよく通った。なんだかこの駅に来ると、その時のことを思い出す。
今も、あのミュージカルで出会った人達のことを思い出しては、あの時は楽しかったな、などど思い返す。
ミュージカルや舞台にかかわる方達は、本当にパワーがある。
見習わなければと思いながら、とても勉強になったり、楽しかったり、いい出会いをさせていただいた。
「リン女王〜」と楽屋でも呼ばれて「は〜い」とよく返事をしていた。リン女王という役であった。



・中央改札口
吉祥寺秋まつりのちょうちん


もう秋、早いものである。秋まつりである。この日はちょうど寒くて、なんだか秋の陽気であった。
夏が過ぎれば、秋がくるものなのである。秋といえば吉祥寺の秋まつり、という人がいるのであろう。
私は、吉祥寺駅をぶらつくのは、まだ2回目ぐらいなので、初心者であるが、もう秋まつりの季節か・・・
などど思わせるいきおいのちょうちんの数である。
しかし、ちょうちんは派手なようでいて、ものがなしげな光景である。祭りのあとは、淋しいものだ。



神輿である。なにやら厳かに展示してあった。

下町育ちの親に育てられた私であるが、神輿をかついだことはない。一度でいいから神輿をかついでみたいものである。
女性が神輿をかついでる姿は、勇ましくてかっこいい。子供神輿も、子供が一生懸命、わっしょいわっしょいと言ってる姿を見ると、
微笑まずにはいられない。吉祥寺秋まつりでは、この厳かに展示されている神輿が、派手に主役を張るのであろう。
日本人の心を吉祥寺駅で思い出すのであった。
神輿神輿と言っていたら雷おこしを思い出した。あれは東京の名物であるが、東京に住むほとんどの人が食べたことがないような気がする。
東京名物はなんなのであろうか。もんじゃ焼き?人形焼き?羊羹?
東京のお土産は、昔は、トップスのチョコレートケーキだったらしく、憧れの的だったらしい。
トップスといえばチョコレートケーキだが、カレーや、サンドイッチもかなり美味しい。それに、トマトサラダが抜群に美味しい。
味付けは、もしかしたら女性好みかもしれないが、トマトがみずみずしいのだ。
そして、ビジソワーズスープという、冷たいポテトのスープもかなり美味しい。
トップスといえば、ケーキだけではなく、カレーの店でもあるのだ。
今は、トップスのチョコレートケーキは、デパートに行けばすぐ買えるので、東京土産というわけにはいかないが、
いわゆる、東京にしかない店の食べ物が、名物になるのだろう。だとしたらなんだろう・・・。きっとそれは人それぞれであろう。



・サーティワンアイスクリーム
愛しのサーティワン。


ここのアイスを食べて帰ろうと思っていたのだが、思いのほか吉祥寺駅付近の散策に時間をかけていたので、
帰りはもう閉店時間であった。残念である。サーティワンアイスクリームといえば、ピンク色の看板。
なんだか子供の頃を思い出す気がしてくるのは、私だけであろうか?
アイス大好きな私は、最近では、食事がわりにアイスを食べることにはまっている。アイスを食べると、じつに幸せな気分になれるのだ。
心まで、アイスの甘さと冷たさがしみ込んで、豊かな気分になる。そういった時の心理状態などを計る機械があったら、おもしろそうである。
あったら、計ってもらいたいものだ。最近はまっているアイスは、フォションのアイスクリーム。
バニラや紅茶のアイスが絶品なのである。夏はアイスに限る。



・ブーツ
吉祥寺上陸。


薬や化粧品などが豊富に揃っている店。外国では普通に存在しているらしいが、日本には私が知ってるだけで、
原宿と銀座と、ここの吉祥寺店の3店だけだ。駅前に、かなり目立って存在していた。
開店したばかりで、まだ吉祥寺駅周辺となじんでいなかった。
白い店の色が、そのなじまなさを強調しているように見えてしまう。
しかし、店自体は、品数も豊富だし、きれいだから、学生やOLには人気になるはずだと思うのだが、
この吉祥寺駅周辺で、果たして混雑するのであろうかと少し心配になってしまったが、
それは余計な心配というものである。私は、この店の原宿店で、外で配っていたクマの小さなぬいぐるみを持っている。
ブーツと書いてあるブルーのリボンを首に結んだ、かわいいクマさんである。店の外で、無料で配っていたのだ。
今時、こんなかわいいクマのぬいぐるみが、ただでもらえるとは、ブーツはふとっぱらである。
たしかにちょっと太めのクマのぬいぐるみであった。



・イタリアントマト
イタトマ。なんだか懐かしい響きだ。


ここのケーキはボリュームがあって、そして美味しい。最近少しカフェっぽいおしゃれさを狙っているようなきらいがあるが、
昔のままでもいいような気がするのだが、そうもいかない世の中なのであろう。
ここの店のとなり付近には、シナボンのお店があって、行列ができていた。
ここ、吉祥寺店が日本では、初おめみえだったと聞いている。シナボンも食べたい、
ケーキも食べたい、などと思いながら、商店街はまだつづく。吉祥寺駅付近の商店街は、
地方に行った時に歩いたりする商店街を思い起こさせる。なんだか、あかぬけない様相の商店街が、なんとも愛着感が漂うのである。
どうも、ほっとけない何かがあるようだ。
商店街には、いろんな店が並んでいて、目がまわるほどだ。お腹がすいてても、何処の店に入ったらいいのか、わからなくなってくる。
時代錯誤な店をあえて選ぶなら、すぐ決まりそうだが、うまい店を探し出すには、時間を要することになりそうなのである。



・サンロード
まだつづく。なかなかおもしろいロード。


この雰囲気、いい味出している。こういう感じが、街全体に漂う吉祥寺は、庶民的な街である。
それとも、脱庶民派を目指してるのであろうか。このままでいてほしい、吉祥寺の商店街。
この日は雨がふっていたのだが、商店街には屋根がついているので、傘をささずに歩けるのが嬉しい。
商店街は屋根があると、歩きやすいのだが、屋根をつけるのにはなかなかお金がかかりそうである。
懐かしい趣のおもちゃやがあるかと思えば、ソニプラがあったり、マクドナルドがあるかと思えば、シナボンがあったり、
やおやがあるかと思えば、ナチュラルフーズ(無農薬の品がいろいろ売っている店)があったり、吉祥寺の商店街は、あなどるべからずである。
なかなかの距離を歩いてるはずなのに、疲れた気がしないのは、商店街の魔術である。



・お寺
サンロードの途中にお寺が。


吉祥寺、という名前は、お寺が関係するのだろうか?そう思わせる、貫禄あるお寺である。警備員が立っていた。何かあるのだろうか?
このお寺のちょっと先までで、この商店街は終わっていた。このお寺を見れただけで、なんだか吉祥寺にきたかいがあったような気にさせられた。
中には入れない様子で、時間が早ければ入れたのだろうか、見学をしてみたいものである。
お寺の見学は、なかなかに楽しいものだ。中学生の時の修学旅行で行った京都は、まだその頃の年齢では楽しめなかったのが残念である。
しかし、今の中学生は、海外が修学旅行先では、日本の良さを知るどころではないであろう。と言いつつ、海外は羨ましいが。
昔、海外への仕事をお断りした私は、理由が、飛行機がこわいということであった。今はもう、気兼ねなく乗ることができるが、
今の子供は、飛行機がこわいなんて思わなさそうである。赤ちゃんの頃から飛行機に乗って家族旅行に行ったりしていれば、
慣れるのも当然であろう。なんとも羨ましいかぎりである。吉祥寺のお寺を見て、京都にむしょうに行きたくなった。
時間とお金を費やして、京都の旅に行きたいものなのである。



・別の商店街
この商店街には赤いちょうちん


吉祥寺駅周辺は、商店街でまわりがかためられている。
右を見ても左を見ても、商店街につきあたるような気がするいきおいの商店街の多さだが、
この赤いちょうちんがぶらさがっていたほうは、浅草を思わせる、商店街であった。
昔ながらで営業している店が多いようにみうけられる、いい味出している商店が並んでいる。
古着屋があるわけではなし、おしゃれな店がたくさんあるわけではないけれど、吉祥寺駅周辺は、独特の魅力をかもし出している。
この通りは、かなり、その独特さ加減を存分に出しているようだ。
一度歩いてみただけで、地元にきているような心地良さと、地元という響き独特の格好悪さがミックスしていて、
興味を引かれる。何度もきてみたいと、不思議と思わせる街の雰囲気が、この商店街にはある。
商店街は、地元民に密接に関係しているものなのである。
子供の頃や、学生の頃に歩いた商店街は、かなりのインパクトとして思い出に残っている。
子供にしてみれば、なんでも揃っている散歩コースだ。
私が今のデパートに対する思いと、子供が商店街に対する思いは同じなのかもしれない。



・甘味屋
団子が美味しそうで、食べたかったのである。今度行ってみようと思うのである。


巣鴨にあった甘味屋を思わせる風情の甘味処。中で食べられるようになっていたので、食べたかったが、
違う店で食事をと考えていたので、食べられなかったが、今度きた時には食べてみたいものだ。
甘味屋は、あるだけでおばあちゃんのような存在だ。店の外に出ていた、おしょうゆのお団子が、かなり美味しそうであった。
私は、昔は甘いものは好きでも、あんこは苦手だった。でも、今は甘いものなら、あんこでもなんでも好きである。
羊羹も、たまに食べたくて、とらやの羊羹を見ては、買って帰ろうかなと思うものの、重いと思ってやめてしまう。
夏は、甘いものといえば、かき氷とか葛きりとか、和風の甘いものを思い浮かべる。
京都の夏は、鍵前(かぎぜん)の葛きりにかぎる。からからと氷の音を鳴らしながら食べる葛きりは、
じつに、風流である。何故か話は京都になる。



・行列
なんの行列だ?雨の日にも、行列。


これは、お肉屋さんの行列であった。とてもお安く手に入るらしい、店自慢のうまい肉があるようだ。
雨の中でも行列ができるなんて、それなりに評判がなければ駄目だろう。有名らしい。
私は、行列にはあまり興味はないのだが、食べてみて美味しかったりすると、並んでしまうかもしれないのである。
並んでまで食べたいものってあると思うから、
行列の目的のものを、食べてみたいものである。こんなに並ぶのだから、美味しいのだろうと予想する。
以前、行列のできる親子どんの店に行ったことがあるが、実際、並んでまで食べたい味であったが、
また並ばなきゃ食べられないのかと思うと、それ一度きりで、その店にはそれからは行ったことがない。
たまにテレビでそこの店が紹介されていたが、最近は見たことがない。
卵がとても美味しくて、何個もたしか使っているとテレビで言っていたのを覚えている。
あの、親子どんを、食べてみたいものである。



・イタめし
美味しい。
BR>
吉祥寺に美味しいパスタの店があるというので、行ってみたところ、この日は休みで、急きょこの店にきた。
駅から少しだけ歩くものの、その道のりを感じさせないほどの美味しさだった。
この日は、中途半端な時間帯に行ったのにもかかわらず、ランチを食べることができた。
それだけで、この店の親切さがうかがえる。ランチコースは2種類ほどあって、
たしか、ピザがメインのコースと、そして私と、この店に連れてきてくれたTが注文した、
ピザかパスタが選べるコース。ピザとパスタをひとりづつ選んで、両方味わうことにし、更に、おすすめと店の壁にかかっていた黒板に書いてある
牛たんとじゃがイモの温かいコンソメスープを注文した。この店は、ひじょうにサービスがゆきとどいていて
居心地がいい。過剰なサービスは逆に疲れるが、この店は、適度な定員の接客が見ていて気持ちがいい。
味が美味しくても、店の雰囲気が一番の味である。この店は、また来たくなるという気持ちにさせてくれた。
そのコースの内容といい味といい、お値段といい、最後に食べたデザートも美味しかった。
イタめしほど、美味しいまずいがはっきりわかる料理はないかもしれないと、最近ひそかに思っている。
この店は、トマトが抜群に美味しいと感じたので、この店の特徴は、トマトにあるのかもしれない。
吉祥寺は食の激戦駆だとはあまり思わないが、たくさんの食べ物関係の店がある。ということはひそかに激戦しているのかもしれないのだが、
どこの店も、なんだか、どっしりと店を構えているように見える。
百貨店の数もなにげないが以外と多くて、吉祥寺の奥深さを感じる。新宿からほど近いこの大きな駅周辺は、
探求要素たっぷりの、おもしろい街である。お腹をすかして、吉祥寺グルメを満喫したいものなのである。



・伊勢丹
吉祥寺伊勢丹はすごい。


吉祥寺伊勢丹はすごい。どうやら、伊勢丹みたいと気付いたのは、この看板があったからである。
百貨店を見て、こんなになにげなく商店街となじんでいると思ったのははじめてだ。
ぎゃくに言えば、こんなに商店街となじんでる百貨店が、伊勢丹だなんて。なのである。
新宿にそびえたつ、あの厳かな建物と同じ伊勢丹が、ここ吉祥寺では、こんな感じなのである。
しかし、中に入って2Fに上がると、一応、カフェコムサがあったりして、少し安心した。なにをもって安心したかなどは、
実際に、新宿の伊勢丹と比較してみたらわかっていただけるかと思う次第である。と言いつつも、
そんな伊勢丹を、この吉祥寺は愛着を持って支えているような、そうじゃないような、
依然として、謎のままこの伊勢丹は存在している。吉祥寺駅にある百貨店には、ほとんど来たことがないので、
たまにこういう百貨店にくると驚かされることが多いのだ。今度くる時は、吉祥寺の百貨店めぐりもおもしろそうなのである。

吉祥寺駅のおもしろさは前から気にはなっていたが、歩いてみて、そのおもしろさが少しわかったような気がする。
一日かけても、見きれないほどの店の数が、また来たいと思わせるのかもしれない。
反面、商店街の地元的な雰囲気を出しながらも、吉祥寺ビームをいたるところで発信していて、
気を抜いて歩けないような恐さも少し持っている。あなどれない吉祥寺駅は、少しぴりっと辛味のきいた、一味唐辛子のようである。


(第13回 おわり)